最近は道路を走る車の安全機能の充実によって、一昔前と比べると格段と事故は減ってきています。
減ってきている事故の中で多い事故はバイクの事故です。
さらにここで注目すべきは「事故を起こす年齢層」です。
様々な世代が乗るバイクですが、一番事故が多い世代は40代~50代のバイク乗りで、この世代の事故率の高さにはリターンライダーの存在が背景にあります。
この年代の死亡事故は全体約半分を占める割合で推移していて、若年層を抑えてトップの事故率の高さとなっています。
「なぜリターンライダーは事故を起こしてしまうのか?」というと、体力の低下や昔の感覚で走ってしまうことが原因にあり、警察の講習やメディアでも大きく取り上げられている問題です。
そんな問題に関して、今回の記事ではリターンライダーのバイク事故の原因や、その事故率について詳しく解説していこうと思います。
目次
リターンライダーの事故率は高い?
リターンライダーの事故率はとても高いです。
上記の図は警視庁のHP内にある「二輪車の交通死亡事故統計(平成30年)」の中に掲載されている年代別の死亡事故率です。
平成30年度で言えば若年層の死亡事故が一番多いですが、過去5年間の平均は40代の事故が多いというのが見てわかると思います。
またこの図は死亡事故に限った図ですが、死亡事故以外事故に目を向けてみるとこの年代の事故率は高いのが現状です。
この事故年代の中にはずっとバイクに乗っていた人もいるとは思いますが、リターンライダーと呼ばれる40代~50代の年齢層において、事故率が高いのが見て取れる図になっているのでリターンライダーの事故率は高いと言えます。
リターンライダーの事故が多い原因
リターンライダーの事故が多い原因は主に2つあります。
- 体力の衰え
- 昔と今の感覚とのズレ
これら2つはリターンライダーの事故の原因に当てはまるもので、メディアや警視庁が主催する安全運転講習の中でも取り上げられている内容です。
リターンライダーの世代にあたる40代~50代というのは、ちょうど体力が衰え始める年代で、運動能力とは別に反射神経やバランス感覚なども低下してきます。
特にリターンライダーは昔バイクに乗っていた感覚で乗ってしまうことが多く、「今のバイクの性能」と「昔と今の感覚のズレ」が生じてしまい事故が起きてしまうのです。
運転の疲れやコーナーを曲がるときの姿勢のズレ、前の車への咄嗟の判断など様々な場面でこの「体力の衰え」「昔と今の感覚のズレ」が起きてしまい事故が多い原因となっているのです。
リターンライダーの事故は防止出来る?
ここまでリターンライダーの事故率や事故の原因について解説してきましたが、そもそも事故を防止することが出来るのでしょうか?
結論から言うと完全に防止することは不可能です。
安全機能が充実してきた昨今の日本においても事故は減ってきているものの、完全に防止する方法はありません。
完全に防止することは敵わないにしても、事故率を低下する方法はあると思います。
事故率の低下はヒヤリハットの減少
事故率を低下させるためにはヒヤリハットを減少させることが大切です。
ヒヤリハットとは、アメリカのハインリッヒが発表した「ハインリッヒの法則」の中に出てくる言葉です。
この法則によると重大な事故が1件起きる前には、軽い損害事故が30件と事故が起こりそうな案件(ヒヤリハット)が300件起きていると言われています。
つまりこの中の300件のヒヤリハットを減少させることで、事故率を低下させることが出来るはずです。
事故そのものを完全に防止することは不可能なので、その前にある事故が起こりそうな瞬間であるヒヤリハットを減らすことが大切なのです。
そのための対策や事故そのものへの対策を次の章で解説していきます。
リターンライダーのための事故への対策
リターンライダーが事故への対策として出来ることは3つあります。
- 安全運転
- 任意保険への加入・見直し
- 安全装備を取り入れた服装
この3つです。
完全な事故への防止をすることは出来ませんが、事故を減らす安全運転の徹底や事故が起きた時を想定した任意保険や服装は大切なことです。
これら3つを更に詳しく解説していきます。
安全運転
事故への対策と安全運転はとても大切なものと言えます。
メーカーが打ち出している安全装備や先進技術は車への恩恵は多いものの、バイクは個人の乗り方に依存するため、メーカー側が出来る安全機能は限られています。
そのため安全に運転することは事故への対策へ一番大切なことなのです。
当たり前の話ではあるものの、中々徹底できない部分であると思います。
- 追い越しやすり抜け
- スピードの出しすぎ
- 進行方向への不注意
これらはバイク乗る人が気をつけなくてはならない項目です。
若年層と違い無茶な運転が少ないリターンライダーですが、知らず識らずのうちにスピードを出しすぎてしまったり、急いでいるときや渋滞時にはすり抜けをしてしまう人も少なくありません。
それらを完全にしないことは難しいですが、事故へ一番有効なのは安全運転なので、意識的に走行する必要があります。
任意保険への加入・見直し
バイクに乗るのであれば任意保険に入ることは必須です。
任意保険に入ることで事故を起こしてしまった時の対策となるからです。
任意保険は事故が起きたときに使うもので、これがあるのと無いのでは事故を起こした時の対処が異なってきます。
事故は完全になくすことが出来ないので、このように任意保険に加入することが事故への対策になります。
またいま現在加入していても値段重視で選んでしまっていては、事故への対策として不完全です。
自分にとって必要な内容なのか?事故起こしたときに有効な部分はあるのか?などを軸に、任意保険の見直しをすることも事故への対策としては大切になってきます。
安全装備を取り入れた服装
安全装備を取り入れた服装は事故を起こしてしまったときに、自分の身を守るのに大変役に立ちます。
これはバイクの使用用途によっても変わってきてしまいますが、リターンライダーの多くは通勤メインよりツーリングがメインだと思います。
そのためツーリングの服装に安全装備を取り入れることが、事故への対策となってきます。
これも警視庁のHP内にある「二輪車の交通死亡事故統計(平成30年)」の中にある事故時に損傷する部位の図です。
これを見ると頭のヘルメットと胸部のプロテクターが大切になってくるというのがわかると思います。
ヘルメットは法律で定められていますので、しっかりと被っているリターンライダー
の方がおおいですが、意外と忘れがちなのが胸部などを守ってくれるプロテクターです。
事故を起こしてしまった時の対策として、プロテクターがついているライディングジャケットを着るなどして安全装備を取り入れた服装は大切になります。
事故が完全に防げない以上は事故を起こした時のことを考えなくてはいけないので、安全装備を取り入れた服装をすることは事故への対策となるのです。
まとめ
今回の記事ではリターンライダーの事故に関する内容について解説しました。
リターンライダー年代である40代~50代の事故率は、事故全体の約半分を占めるくらい高いです。
体力の低下や昔と今の感覚のズレが事故が多い原因となっています。
それらを加味した上で安全運転をすることが事故への対策となりますが、事故を起こしてしまった時の対策も必要になってきます。
そういう意味では任意保険や安全装備を取り入れた服装は自分を守るためにも有効な手段です。
事故を防ぐことが何よりの問題なので、安全運転をして豊かなバイク生活を送れるようにしましょう。